2.20 から 2.22 での新機能
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連符を括弧の代わりにスラーで譜刻できるようになりました:
\relative { \tuplet 3/2 4 { \override TupletBracket.tuplet-slur = ##t c'4 e8 d4 f8 \override TupletBracket.bracket-visibility = ##t e f g f e d } c1 } -
\compressFullBarRestsは、\compressMMRestsとの混同を避けるために、\compressEmptyMeasuresに名前が変更されました。 同様に、\expandFullBarRestsは\expandEmptyMeasuresになりました。 -
\vowelTransitionコマンドを使用して、歌詞の音節間の母音遷移を追加することで、母音 (または持続する子音) の段階的な変化を示すことができます。{ g'2 g' } \addlyrics { Ah \vowelTransition oh. } - LilyPond for Windows (MinGW) は、 Windows 10 1903 以降で Unicode のファイル名を処理できます。
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フレンチビーム (
\override Stem.french-beaming = ##t) が、正確にすべての個所 (連桁、アーティキュレーション、運指記号などの配置) で標準 (つまり、デフォルト) の連桁のように振る舞うようになりました。残っている違いは、内側の符幹が連桁を通過しないことだけです。 -
四分音の音名がすべての入力言語で利用可能になりました。
\language "català" \relative { do'4 sol' miqb re do1 } -
すべての入力言語 (
\language宣言) で、正しい UTF-8 の綴りを使用できます (つまり、特殊文字を含める) 。元の名前catalanとportuguesに加えて、catalàとportuguêsが使用可能になりました。 -
suggestAccidentalsを'cautionaryにセットすることで、忠告の臨時記号だけをAccidentalSuggestionに変更します。これにより、ファクシミリと編集した臨時記号を見分けるのに使うことができます。\relative { \key d \minor d''4 cis8 b? cis2 \set suggestAccidentals = ##t d4 cis8 b? cis2 \set suggestAccidentals = #'cautionary d4 cis8 b? cis2 } -
\ambitusAfterコマンドが追加されました。これは音域を異なる位置に移動するときに使います。\new Staff \with { \consists Ambitus_engraver } \relative { \ambitusAfter key-signature \key d \major es'8 g bes cis d2 } -
非常に短いフェルマータ、Henze の長いフェルマータ、Henze の短いフェルマータが追加されました。
{ c'1\veryshortfermata c'2\henzeshortfermata c'\henzelongfermata } -
フェルマータや他のアーティキュレーションを複数小節にまたがる休符に直接付けることができるようになりました。これにより、
\fermataMarkupコマンドは非推奨となります。{ R1\fermata R-> R\coda } -
スウィングやイレギュラーなリズムパターンを、通常の演奏時間で作られた音楽表記に適用できるようになりました。これは、MIDI の均一でないリズムの解釈を表現するために使用されます。
\include "swing.ly" << \new Staff \with { instrumentName = "ordinary" } \repeat unfold 8 c'8 \new Staff \with { instrumentName = "with swing" } \repeat unfold 4 \tripletFeel 8 { c'8 c' } \new Staff \with { instrumentName = "triplets" } \tuplet 3/2 4 \repeat unfold 12 c'8 >> -
コードの転回やドロップノートを用いたボイシングが自動的に行えるようになりました。
\chordmode { \dropNote 2 { c2:maj7 d:m7 } \invertChords 1 d1:maj7 } - いくつかのウクレレのフレット図が修正され、新しいダイアグラムも追加されました。
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従来のコード命名関数
banter-chord-namesとjazz-chord-namesはメインのコードベースから削除され、プロパティchordNamesExceptionsFullとchordNamesExceptionsPartialになりました。この変更の一環として、パワーコードはデフォルトの例外に含まれるようになりました。それは追加のtweakを必要とせず、 (他のすべてのコードのような上付き記号とともに) 正確に譜刻され、これによって\\powerChords定義済みコマンドが必要なくなります。従来の関数に興味があれば、‘chord-names-alternative.ly’ スニペットにその (ある程度機能する) コピーがあります。 -
\\partcombineコマンドをはじめ、partCombineで始まるすべてのコマンドのサブルーチンとプロパティ名は、\\partCombine、\\partCombineApartのように、大文字の C で記述するようになりました。\\autochangeコマンドも、\\autoChangeのように大文字となります。 -
New_fingering_engraverは、self-alignment-interfaceのプロパティX-align-on-main-noteheadsを考慮するようになりました。これを true にセットする (##t) ことで、upやdownで位置づけられたすべての運指記号はまっすぐな列に配置され、符幹に対して正しい方向に接している音符の位置に揃えられます。{ \set fingeringOrientations = #'(up) <e'-1 d''-4 e''-5>4 <a'-1 b'-2 fis''-5> \set fingeringOrientations = #'(down) <e'-1 d''-4 e''-5> <eis'-1 e''-4 fis''-5> \bar "." \override Fingering.X-align-on-main-noteheads = ##t \set fingeringOrientations = #'(up) <e'-1 d''-4 e''-5> <a'-1 b'-2 fis''-5> \set fingeringOrientations = #'(down) <e'-1 d''-4 e''-5> <eis'-1 e''-4 fis''-5> } -
スカイラインはレイアウトオブジェクトの
rotationプロパティを考慮するようになりました。たとえば、\override Hairpin.rotation = #'(15 0 0)をクレッシェンドヘアピンに適用して回転させると、スカイラインに正確に影響を及ぼすので、スペースの改善に役立ちます。 -
調号の取り消しで、角で接するナチュラルグリフの間にわずかなパディングが追加されました。
{ \omit Staff.TimeSignature \key ces \major s1 \key c \major s } -
ボックスのスカイラインは、丸みをおびた角や回転を含んだ実際のボックスのアウトラインを反映するようになりました。
#(ly:set-option 'debug-skylines #t) { b'1^\markup \scale #'(2 . 1) \rotate #30 \override #'(corner-radius . 3) \rounded-box \center-column { box skyline } } -
2つの新しい装飾記号が追加されました。
{ c''2\slashturn c''\haydnturn } -
256 分、512 分、1024 分の旗と休符のフォントグリフが追加されました。
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niente を表す強弱コマンド
\nが追加されました。 -
フレット図は
handednessをLEFTにセットすることで左利き用に譜刻されるようになりました (fret-diagram-detailsのサブプロパティとして) 。\markup \center-column { "C" "(left-handed)" \override #`(fret-diagram-details . ((handedness . ,LEFT))) \fret-diagram "6-x;5-3-3;4-2-2;3-o;2-1;1-o;" } -
output-classic-frameworkプロシージャと-dclip-systemsがSVGバックエンドで有効になりました。 -
-dcrop引数が追加されました。これはSVGとPDFの出力をマージンや改ページなしでフォーマットします。
古いニュースに関しては、https://lilypond.org/doc/v2.20/Documentation/changes/, https://lilypond.org/doc/v2.18/Documentation/changes/ を参照するか、ドキュメントのトップに戻ってください。